こんにちは、西川ゆすけです。
美容師への質問でよく目にすることなのですが、なぜ美容師によってカット料金がバラバラなのか、そしてなぜ高い所と安い所があるのか。
今回はそういったテーマでキーボードを叩くことにしました。
(今のご時世、こういうデスクワークが捗りますね)
カット料金があるから他メニューがある
カット料金の平均として2019年は3500円前後とされています。

意外にも東京都の平均は3800円前後と、そこまで突出して高くありません。
むしろ平均が4000円を超す県や、東京より高い地方の県もちょくちょくあります。
少し話が脱線しますが、店舗数が増えすぎて飽和状態にある都心の方がカット料金が安くなっていく場合もあります。
カットの原価というものを考えてみましょう。

実際カットにおける原価というのは、水道光熱費・シャンプー代くらいのもので、原価率で言えば5%もないです。
つまり95%は利益として残るわけです。

今度は利益率で見てみましょう。
カットメニューに対する利益率はこういう感じになります。
・水道光熱費5%
・固定費+変動費(家賃や広告代など)10%~
・お店の利益40%前後
となり、半分近くはお店の利益になります。
お客さん目線で考えてみると、利益を減らせばカット料金も安くできるじゃないか!という結論に行き着くのは当然で、やはり「ぼったくり」じゃんと想う方も居るかもしれません。
しかし、カットというメニューはその利益率の高さから「他のメニューを安くするためにある」と言える側面もあります。
よく目にするメニューですが、カット単品とカラー単品での合算金額より、カットカラーという複合したメニューが安くなるということがあります。

これこそまさに利益を減らして料金を安くしているという形ですね。
カラーに対する利益率を見てみましょう。
・水道光熱費5%
・固定費+変動費10%~
・材料費10%~15%
・お店の利益30%
となり、なんと利益率が減っています。
これはもう材料費をそのままぶちこんだ分減ってるので当然ですね。
この材料費を賄う役割を果たすのがカットなのです。
カット料金は他のメニューに必要な材料費や固定費・変動費を賄う事のできる値で算定されています。
つまりカット料金というのは、単にカットだけの値段だけではなく、お店を存続させるための基準になりうる料金設定がされています。
時間効率で見てみる
カット料金の仕組みをざっくりと説明しました。
今度は具体的なケースで、実際に得られる利益というのを考えてみます。
こうすることで、テーマにあるカット料金のバラつきというものの核心に迫れます。


時間効率というのは、簡単に言うと1時間あたりの利益として考えます。
例えば5000円のカットが1時間で終わった場合、先ほどの利益率と照らし合わせると
1時間で2000円ほどの利益になります。あくまで概算です。
カットカラーの場合は平均して2時間くらいかかりますので、2時間で3000円前後の利益。
時間効率で考えれれば1時間あたり1500円です。


カラーが複合するより、カット単発でガンガンこなしていく方が利益が出る!というのは見ての通りです。
じゃあカラーはせずにカットばかりやればいいのかというと、そういうわけでもありません。
カラー複合をした場合は、同時進行ができるというメリットが生まれます。

一例として、カットカラーのお客様が同時に二人いた場合、単純に2時間で倍の数値が出ます。
この時点で時間効率は1時間あたり3000円となり、カットを超えるわけですね。


同時にこなせる、というのが大きなメリットであるため。カットとカラーを複合して勧めるのは美容室のスタンダードとなっていますね。
ここにメスを入れたのが、QBハウスをはじめとする1000円カットという存在です。
これはもう衝撃的で、効率的かつ合理的、ビジネルモデルとしては脱帽の域に達するものでした。
無駄なものを一切省き、システマチックな環境を作り上げることに投資した結果、ここまで価格を下げることができました。
10分で1000円。
かつカットのみということはほとんどが利益に回すことができます。
一人当たり400~500円の利益を産み出せます。
それを時間効率で換算するとなんと1時間あたり3000円!
驚愕です。一人でしかも1時間でこれだけの数値が出せるのは美容業界ではありえません。
まさに価格破壊。
美容業界は息の根を止められるといっても過言ではない危機を迎える可能性がありました。


そしてこの相反する2つのケースによって、カット料金の違いが生まれる疑問が解かれます。
結論:料金というのは確率の可視化である
つまり、カット料金というのは、美容師がカットにかけられる時間を表しています。
カットにかける時間というのはカウンセリングをはじめ、仕上げのセット等が含まれています。
先述までのとおり、利益=時間効率とするなら、1時間の中できっちり切り終えないといけません。
10分カットで10分間カウンセリングしていたら赤字もいい所です。
迷っていたり相談したいことがある場合、カウンセリングに時間を取った方がより不安が無くなると思います。
時間が逼迫した状態だと、細かい作業に支障がでるかもしれません。
こうした点から、カット料金というのは、カット以外にも充てられる時間を表したものと言えます。
5000円のカットなら10分間カウンセリングしても間に合います。
カットが早い人ならもっとかけれるでしょう。
10000円ならさらに倍。話を聞いてくれると考えたら、美容師を拘束する金額と思ってもらって差し支えないです。
カットというサービスだけではなく、技術者の時間も提供するサービス料金でもあるわけです。
美容師としては、時間に余裕がある方がしっかりとした技術を提供できると考えます。
それと同時にカット料金をいくらもらうという責任というものを意識することになります。
これは結局、失敗する確率を可視化しているものだと結論ですね。

もちろん、高いけど失敗した!という声もありますが、確率である以上0はありません。
その確率を減らすのがカット料金という一つの目安ですね。
安くて上手い!と思える店舗や美容師に出会えた方は素晴らしいと思いますし、高いけどこの満足度で考えれば安い!と思える出会いも素晴らしいと思います。
あくまで個人的な見解ではありますが、カット料金のお話でした。
西川ゆすけ
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